銀が短期金利を上げようとしています。報道によるとその動機は円安対策の為との事。円安が進行すると、ドルでの値段が維持されていても、購入にはより多くの円を支払わなければならず、例えば石油などの輸入品の国内価格が上昇します。そもそもエネルギーは当然として、それ以外のモノも輸入に頼っている我が国としては、円安は物価高騰に直結するという訳であります。
高度経済成長期には、日本経済は工業製品の輸出に頼っていましたから、円安に振れる→ドル建で安くなる→安いから海外から製品を買ってもらえる、というロジックに従い、相当に潤っていたといいます。当時も円安故の物価高騰は確かにあった筈なのですが、安い鉄鉱石を仕入れて、高付加価値な自動車に加工して、海外に輸出する、という流れでしたので、物価高騰よりも、円安による輸出差益の方が全体として効いていたという訳です。
ところが日本のモノ作りは、以前に比べてすっかり力を失ってしまいました。今や日本は工業輸出国ではありません。金融出資国と呼んでも差し支えないでしょう。とすると、円安に由来する石油や食料品などの生活必需品の高騰は深刻で、何とか円高方向へ変えていこうと、日銀も円買い介入を行なっている訳ですけれども、介入の影響は軽微で、相変わらず円安基調のままであります。
冒頭の話に戻ってみましょう。日銀が短期金利を上げようとしています。金利が上がると日本円を持つ魅力が上がり、皆が円買いに殺到するので円高に振れる、というロジックに則っての事でしょう。金利を上げれば円高になり、金利を下げれば円安に振れるのは、教科書に載っているような、誰でも知っている、当たり前のセオリーなのだそうです。少なくともNHKの時事公論でそう云っておりましたよ。
へぇ、そうなんですね。
宮島未奈著「ギャルにひかれて寺マルシェ」(角川書店)からのお言葉です。2011年10月31日、日本円が最高値をつけました。1ドル75円32銭。このとき日本はマイナス金利政策真っ最中でありました。つまり金利が最低だったのに円高だった訳で、NHKの云うところの「金利を上げれば円高になるのは、教科書に載っているような、誰でも知っている、当たり前のセオリー」とは全くの逆であります。素朴な疑問でありますが、一体全体何を根拠に、現実とは正反対の理論がまかり通るというのでしょうか。
単純な通貨買いだけではなく、ファンド・オブ・ファンズ(他の複数の投資信託を投資対象として保有するタイプの投資信託)の台頭など、市場はより複雑化している中で、単純に「金利を上げれば円高になる」というのはあまりにも短絡的で危険だとは思うのですが、はたして大丈夫なのでしょうか。
金利を上げればローン負担は重くなり、確実に景気は後退します。好景気故のインフレだったら別ですが、ウクライナ戦争、イラン紛争を受けたコストプッシュ・インフレなのは明白なのですから、ここで金利を上げて景気を冷やせば、スタグフレーションの危険すらあり得るのではないでしょうか。
社会保険料も上げ消費税も上げた今、金利を上げて、その上スタグフレーションになったりすれば、日本経済は回復不能な痛手を受けてしまいます。「金利を上げれば円高になる!」という理論は本当なのでしょうか?教えて、文系の偉い人!!
【つづく】
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